推薦本:『江戸の繁盛しぐさ』(日経ビジネス人文庫)

私には、21世紀にどうしてもよみがえらせたい日本人の感性があります。それは「粋か野暮か」という価値観です。

たとえば、あなたが江戸時代に生きていると仮定してください。江戸時代も、お金を借りた時には、当然借用書を書きます。

これがもし欧米なら、「期日はいついつで、それまでに返せなかった場合は、利子がどういう計算になって、担保はこれで」というぐあいに、膨大な但し書きが加えられるでしょう。では、江戸時代の日本では、どんな但し書きが交わされたと思いますか?

「期日までに返せなかった場合は……。
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なんと「お笑いくだされ」の一言だけなんです!

これでトラブルにもならずに成り立っていた社会って、素敵ですよね!?
信頼してお金を貸してくれた人を裏切るのは、「野暮」、だから、江戸っ子たちは、自分のプライドにかけて、「粋な生き方」を理想とし、実践したんですね。

つまり粋に生きるには、恥を知らないとダメなんです。道徳的に問題のあることを、「法律に違反しているわけではないですよ」なんて厚顔無恥に言ってのけるような人は、逆立ちしたって、粋にはなれません。

私のイメージする“イキな人”って、こんな感じ。

★恥を知っている。だからこそ、相手にも恥をかかせない。
★思いやりにあふれた行動を、人知れずやっている。つまり陰徳を積んでいる人。
★「生きている」のではなく、「生かされている」ことに気づいている。だからいつも感謝の心を持ち、謙虚でいられる。
★特別なことがなくても、日常に感動や幸せの種を見つけられる。
★「自分さえよければ」「今さえよければ」というのは、究極の野暮。みんなのことが考えられる、次の世代のことが考えられる…そんな人が、イキ!!

この本の著者で江戸しぐさの語り部・越川禮子先生はおっしゃいます。つまり“粋”とは、「公に生きる」ということなんだ、と。

恥を知り、惻隠の情を持って平和的に生きてきた江戸っ子たち。その叡智が、この本には詰まっています。私たちが現代社会に今すぐ応用できるようなヒントも盛りだくさんです。

「正しい、間違っている」で考えても埒はあかない場合が多い。そんな時、「粋か野暮か」で考え、粋な方を選択しませんか? この本を読み終わる頃には、あなたも粋な江戸っ子気分! きっと、今よりずっと涼やかな心で生きられますよ。

…と、ここまで書かせていただいた上で、どうしても付け加えたいことがあります。ここまで読んでくださった方は、この本が、個人の生き方のヒントをくれる本であり、自己啓発書のような印象をお持ちになったのではありませんか?

実は、この本の伝える内容は、もっともっと深いのです。「繁盛しぐさ」の名の通り、この本には商売の極意が秘められています。

江戸時代の日本は、世界史の中でも数々の奇跡に満ちています。200年以上の平和が続き、自然と人間が共生し、文化が花開いた時代、それが江戸時代です。さらに、つぶれるお店なんて滅多になく、驚くほど失業率が低かったのが、江戸の町です。環境と経済が両立していた、そんな輝かしい一面があったんですね。

そんな社会を実現した、江戸商人たちのしなやかで、したたかな生き方を、そして彼らが培ってきた商売繁盛の極意を、存分に味わってくださいね!

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