推薦本:『ものがたり伝記シリーズ』(全21巻)』(登龍館)

経営の神様と言われ、人材を育てることにも定評のあった松下幸之助さんが、ある時、こんな質問を受けました。

「人を育てる上で、真っ先にやるべきことは何ですか?」

これに対し、松下幸之助翁は、一瞬のためらいもなく、こうお答えになったそうです。

「まずは伝記を読ませることです」

私はこの話を聞いて、「なるほど~!」とうなりました。確かに、夢や志は、何もないところからは生まれません。美しい先人たちの生きざまを知るから、「それなら私もこういうことをやってみよう」「僕もこんなふうに生きたい」と、夢や志が育っていくのでしょう。

私も松下幸之助翁を見習って、さまざまな伝記を買ってきては、子どもに読み聞かせをしてきました。その中で、私の一番のオススメが、この伝記シリーズです。

まずは、人選が素晴らしいんです。
20世紀最後の教育者と称えられた、森信三先生がセレクトした、21人。日本人だけでなく、世界の偉人も入っているところがニクイ。

そして何よりも、森信三先生と愛弟子の寺田一清先生の温かな視点で、偉人たちの人間性にスポットを当てているところにシビれます。偉人たちが「雲の上の人物」でなく、すぐ近くにいてくれる、友だちのように感じられるのです。

さらに、この21人には共通点があります。
有名、無名を問わず、「公のために生きた」ということです。

九州大学医学部名誉教授の井口潔先生の研究によると、人間の脳は、生まれて10年間で感性を司る大脳辺縁(へんえん)系が発達し、その後の10年で知性を司る大脳新皮質が発達するそうです。つまり10歳ぐらいまでの子どもには、知識を詰め込むより、豊かな感性を育む教育こそが望ましいということです。

感性が豊かであるということは、「真善美」がわかるということです。「真善美」のわかる豊かな感性は、幼い頃に、美しい生きざまに触れることで育まれるのです。

知性が生きる術(すべ)であるのに対し、感性こそが生きる力です。子どもたちの感性を育むために、そして大人がいつまでも美しい心を持ち続けるために、この伝記シリーズが、多くの人に読まれることを願ってやみません。

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